薄桜鬼真改黎明録|ネタバレ感想

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次のゲームは首を長くして待っていた薄桜鬼です!
本当に大好きなんです。
またあの動乱の時代に行ってきます。

プラットフォームNintendo Switch各種
メーカーオトメイト(IF/DF)
発売日2021年8月26日
CEROC(15才以上対象)
シナリオ長野和泉 他
イラスト四季咲組
キャスト関智一/三木眞一郎/森久保祥太郎/鳥海浩輔/吉野裕行/遊佐浩二/中田譲治 他
公式サイトhttps://www.otomate.jp/hakuoki/shinkai/reimeiroku/
敬称略
プロモーションムービー
オープニングムービー

あらすじ

――武士なんて、クソ食らえだ

母親を病で亡くした龍之介は、生きる支えをなくして、あてもなくさまよっていた所、京に向かう尊王攘夷派の浪士に襲われ、金品を奪われた。
食料も金もなく、ただ餓死するのを待つだけだったところで、浪士組として上洛する途中の芹沢鴨と出会う。
芹沢に拾われる形で、不本意ながらも彼と行動を共にすることになった龍之介。
当面の住処となるそこは、後に「新選組」と呼ばれる人斬り集団の拠点だった。
生い立ちのせいで「武士」を毛嫌いしている龍之介だが、そこには敢えて武士を目指すものたちがいた。
彼らと接し、彼らが目指すものや抱く夢を知っていくことで、頑なだった龍之介の心に変化が訪れる。
彼らが目指す「武士」とは何か。
自分が目指す「道」はどこに在るのか。
これは、幕末の動乱の中に埋もれていた、名も無き少年の物語である――。

薄桜鬼真改黎明録公式サイト

システム

基本はいつものオトメイトさん仕様です。

機能有無
既読/未読スキップ・オートモード
クイックセーブ/ロード
バックログ
チャプター(ルート又は章毎の途中プレイ機能)
フロートチャート
選択肢又は未読箇所までのスキップ×
主人公の名前変更×
デフォルト名呼び
主人公フェイス表示×
主人公ボイス
キャラクター立ち絵の動作(目パチ・口パク等)
アイキャッチ
フォント変更×

この他に十六夜挿話という、主人公以外の視点から物語を見る機能があります。
本編中に挿入されるお話で、発生したその場でも、後からでも読めるようになっています(その場で読むの奨励)
※十六夜挿話のみ千鶴の名前は変更可能です。

また、過去作(Vita版やDS版等)の追加要素も全て網羅されています。
「祇園会騒動」「鬼が霍乱する日」「小夏日和」「夢見抄」「幕末講義録」+追加スチル、解説
どこで追加されたかの詳細は以下の通りです。

PS2版 薄桜鬼黎明録(無印)
無し

PSP版 薄桜鬼黎明録ポータブル
追加シナリオ「小夏日和」「幕末講義録」

DS版 薄桜鬼黎明録
PSP版の追加要素収録
追加シナリオ「夢見抄」
スチル解説の追加

PS3版 薄桜鬼黎明録 名残り草
追加シナリオ「鬼が霍乱する日」

PS Vita版 薄桜鬼黎明録 思馳せ空
これまでの追加要素
追加シナリオ「祇園会騒動」
スチルの追加
システムボイスの追加

新規追加要素

NintendoSwitch版から新たに加えられた新規要素についてです。

  • 新規シナリオ「文久心覚え」
    既存の攻略キャラ6人と真改から攻略対象になった6人の合わせて12人分の新規シナリオです。
    各キャラクター視点で文久3年の日常エピソードが見られます。
    台詞以外も視点になっているキャラクターが読み上げてくれます。
  • 新規スチル
    黎明録本編に新規の絵が追加されています。
    追加されたのは攻略キャラクターの5人。
    土方、沖田、斎藤、藤堂、原田の各シナリオに挿入されています。
    また、文久心覚えにも12人分の新規スチルが付いています。
  • スチル解説「往年の補筆」
    新規スチルにも各キャラクターによる解説が追加されています。
    (既存のスチルには既存の解説がそのまま付いています)

世界観と主人公

薄桜鬼全般は「恋愛アドベンチャーゲーム」というヒロインと攻略対象との恋愛ありきのゲームなのですが。
薄桜鬼(真改)黎明録は恋愛ゲームではなく「女性向けゲーム」です。

所謂乙女ゲームでの、女主人公と攻略対象の男性が恋人関係になる展開が中心ではありません。

今作は、井吹龍之介という男主人公を中心に、新選組として本格的に活動する以前の土方さんたちの物語をたどっていきます。
時期にすると、文久3年の春~9月くらいまでのお話です。

もちろん、薄桜鬼真改本編のヒロイン・雪村千鶴もシナリオ中に登場します。
隊士の誰かと恋仲になっている、という場面もありますが、黎明録本編には大きく関与しません。
重要な脇役くらいに考えればいいかと思います。

伊吹龍之介
主人公は井吹龍之介。
元々は武士の家柄にありましたが、両親が亡くなり家は没落。
暴言を吐くくらい武士というものが大嫌いです。
父が死んで、母と二人暮らしの時に、毎日の暮らしよりも武家の誇りや体面に固執する母に苦労したことが原因になっています。

ですが、皮肉にも行き倒れいた所を刀を二本差ししている人に拾われてしまいます。
武士が嫌いなので初めは浪士組に対してとても態度が悪いのですが、図星を付かれて拗ねちゃう所がまだ青い少年だなという感じです。
素直じゃなく意地っ張りですが、律儀ですし根は悪い子ではないです。

芹沢さんや浪士組のみんなと関わることで龍之介がどうなっていくのか、物語の一番の見どころだと思います。

また、後に新選組になる土方さんや総司や一君たちも薄桜鬼本編に比べるとまだまだ覚悟が足りなかったり、青かったりする部分もあります。
龍之介だけではなく、彼らが何を経験し、薄桜鬼本編に繋がっていくのかも楽しめる要素の一つだと思います。

芹沢鴨
そして裏主人公といっても過言ではない芹沢鴨。
傍若無人で短気、悪名を広げてゆき土方さんたちとわだかまりができてしまいます。
試衛館の面々からすると浪士組の目の上のたんこぶですが、行動・言動には揺るぎない覚悟が通っています。
後に、彼の振る舞いは龍之介や土方さんたちに大きな影響を与えることとなります。

共通章は上洛から変若水の登場までのお話です。
上洛したはいいが、嘘の尊王攘夷の名目で集められた浪士組。
支度金が出ないため、発案者と多くが江戸にとんぼ返りする中、近藤さんを押し上げるために来た土方さんたちは残留のために動きます。

しかし、芹沢さんのツテを使って会津藩に働きかけるしかなく、歯がゆい状態が続きます。
やっとのことで会津藩への目通りと上覧試合を経て、ようやく後ろ盾を得られますが、資金問題は残ったままで浪士組の今後が危ぶまれます。
その折に、幕府の命で遣わされた雪村綱道と変若水の研究を行うことに…。
否応なく浪士組の事情に深入りしつつある龍之介は今後どうするのか。
章内の選択肢によって、この後各キャラクターのルートに分岐します。

キャラクタールート別ネタバレ感想

キャラクターの個別ルートの感想です。
私は、斎藤→原田→藤堂→沖田→土方→芹沢の順番で攻略しました。

Attention

以降はネタバレ回避のため【ネタバレ】ボタンを設置しています。
クリック・タップするとネタバレ感想が開きます。
閲覧後の苦情等はご容赦ください。
よろしくお願い申し上げます。

斎藤一ルート感想

斎藤一
Profile

Name:斎藤一

CV:鳥海浩輔

居合の達人・左利き

無口で静かで、なかなか内面が読めない人ですが、仲間思いでよく細かいところまで気がつく人です。
試衛館の仲間からは絶大な信頼を受けています。

このルートでは龍之介が自分の天分を見つけて、その道を邁進するお話です。

新選組の内情に深入りする前に屯所を出ていこうと考えますが、先のことは何一つ決めておらず。
一君の忠告を聞いたのをきっかけに、幼い頃によく描いていた絵を手にしてみることにしました。
絵を描いていると気が紛れるという何気ないはじまりでしたが、一君が龍之介の絵に才能を認めてからは描きたいと思ったものは無我夢中で描くようになります。

いつも他人が唸る程のすごい絵の題材になってるのが一君っていうのがまた…(笑)
色々言われて世話を焼かれるのは嫌がるのに、無口な一君の機微をよく理解して表現できちゃうのがツンデレですね龍之介。
一君は芸術に明るいわけではないのですが、魂を込めて作られた物から何かを感じとる職人感覚で褒めていました。

芹沢さんとかもそんな感じですので、その道を進む覚悟を決めていたり、信念を曲げない人達に本気かどうかというのは伝わるみたいです。
だからこそ、褒め言葉は自信にしていいし、ED後の龍之介の大成に繋がったのではないかと思います。
その代わり中途半端へのダメ出しは容赦ないですけど(笑)

できないことをやれと言ったり無駄なアドバイスしたりするわけでもなく、己の剣の道をゆく覚悟と経験則が言葉の裏にあるからこそ、龍之介に何が足りないのかを示す姿が斎藤一らしいなと思います。
行いや態度に人を惹きつけるものがあって、人の憧れになり得る凄さがあるのに、謙虚で言葉で言われると照れちゃうのがまた可愛いです。
本人は思ってないけど、自然と人が真似たりついて来てくれる俺についてこいタイプだと思います。

その斎藤一の揺るぎないものはどこから来るのかと言うと、京で浪士組に合流するまでに人知れず大きな葛藤を乗り越えた過去にあります。
武士としては異例の左構えですが、圧倒的に強い。
しかし、武家社会の決まりや作法においては非礼にあたります。
矯正しなければ武士として認められないのか、アイデンティティーを捨てなければならないのか。
ひとり悩んでいた一君を受け入れてくれたのは試衛館の仲間達でした。

体面ではなく一君の「強さ」を見て、認めてそのままでいいと言ってくれた人たちです。
一君にとっての居場所であり、初めて自分を受け入れてくれた大切な人達ができて嬉しかったんじゃないかなと思います。
でも、その後に旗本の師弟との試合で相手を殺してしまい、武士道を絶たれてしまいます。
天分と決めた剣を捨てるのは身を切るより辛かったと思います。
失くしてはじめて、剣が自分の一部になっていたことに気がつき、どうしても切り離せないのも天分の厄介なところ。

結局は浪士組に参加という形で戻ってきますが、屯所の門をくぐる前に「覚悟を決めていた」と言った裏にはものすごく複雑な心境があったんだなと思います。
1度手放したからこその天分と向き合い、どんな事でも受け入れると決めた覚悟は並々ならないものです。
多分、本編の「変わらないものをこそ信じている」という一君の言葉にも繋がるのではなかな。
龍之介に大きな影響を与えたのも頷けます。

浪士組になってからも、人を殺す道にいても斬らなくていい最善を尽くすのを忘れず、黙々と模索しているのも他人をよく見ていて気がつく一君らしいなと。
ただの命令をこなす殺人マシーンではなく、律儀で真面目すぎるところもかっこよくて本当に好きです。
龍之介も一君のこういうところに救われて、芹沢さん亡き後に何事もなく屯所から出られたのだと思います。

黎明録本編クリア後に十六夜挿話で千鶴と一緒になったその後も見れるんですけど。
一君の話すトーンがめちゃくちゃ優しくなっていて、いつもいい意味で角が取れてそっち方面も覚醒したなとにやけてしまいます。
詳しくは真改本編で、なんですけど最後まで戦いの中に身を置いて剣の道をゆくのは変わらなのに、その道に千鶴が自ら伴っているのが、やっぱり生き方で魅せる俺についてこいタイプだなと思いました。

原田左之助ルート感想

原田左之助
Profile

Name:原田左之助

CV:遊佐浩二

槍の名手

すぐに手が出て、ガサツな所もありますが、人の感情の機微に聡い人です。
昔に無茶した分、人として成熟していますが「男なら強くなりたい」と思う幼心も忘れない不思議な大人です。

左之さんルートは、龍之介の初恋物語といっていい恋愛のお話です。
龍之介が物語の途中で知り合う小鈴という芸妓との甘酸っぱい恋模様を左之さんと見守るルートです。

小鈴のことが気になる龍之介。
でも、芸妓との恋は前途多難なので、気持ち的にも現実的にも悩みがつきません。
小鈴の置かれた花柳界の厳しさを聞く度に彼女を慮ってため息をついていたのが印象的でした。
自分ひとりの事じゃないのでため息もその分重かった気がします。

また、同時期に佐々木という隊士も小鈴のお友達の町娘と恋仲になって、色々悩みながら隠れて逢瀬をしてます。
左之さんはと言うとああしろ、こうしろと指針を示すのではなく、基本は聞き手になってくれます。
「やめろ」と言わないあたり、個人的には本人の意志を一番に考えているんだろうなと思いました。
できる男すぎて本当にかっこいいです。

でも、これは左之さんにも簡単には答えを出せない事です。

自分の道を取るか大切な女性を取るか。
後に左之さんがぶつかる究極の選択があるのですが、それ対する考え方が垣間見れます。
昔の左之さんは女性を取る道を理解できなかったそうですが、夢を捨て女性を取った友人がいたからこそ「憧れている」ということに気がつけました。

黎明録の今は、女に本気にならないようにしている節があります。
試衛館の仲間と名をあげることや誰よりも強い槍の使い手になること、両立できないこと。
佐々木たち部下の模範にもならないといけないというのもあったのではないかと思います。
まだまだ道半ばなので当たり前の行動といえばそうですけど、経験から龍之介に後悔のないように促してきて、自分の周りの人のことも考えている左之さんの優しさが感じられました。

佐々木に対しては立場が違うのでもう少しシビアですけど、上司としての譲歩はしててやっぱり優しいなと思いました。
男気はあるけど、他人の事でも事情を割り切れない性格、そこがまた良かったです。

なんだかんだで最後に龍之介の背中を押したのも、気持ちの問題もあるでしょうけど、自分の憧れの行き方を龍之介ができるから応援してくれたのかなと思います。
露払いと後始末までしてくれて、龍之介は絶対に足を向けて寝れないレベルでお世話になりました。
成就して本当に良かったね。

最後の十六夜挿話では、左之さん自身も選択をした後の一幕が描かれるのですが。
スッキリしてましたね。
どれだけ悩んだかは真改本編で目撃せよ、です。

藤堂平助ルート感想

藤堂平助
Profile

Name:藤堂平助

CV:吉野裕行

さきがけ先生

人懐っこい性格。
浪士組参加の話を持ってきた張本人です。
しかし、思ったのと違う事態に見舞われ、少なからず責任を感じている様子…。

平助のルートは、自分の信念を貫こうとするとそれに反する事ばかりをしないといけない、なんとも理不尽なお話です。

主に仲間や居場所を守ろうとする平助にとっては最悪の相性の変若水・羅刹がこの先ずっとつきまとうことになるし、しんどいです。
そして、真改本編の平助と山南さんへの伏線だらけですごく重要なルートでもあると思います。

平助は本当に試衛館の仲間と一緒に過ごすのが好きです。
以前に通っていた北辰一刀流の同情で、人間関係に失敗して沈んでしまいましたが。
試衛館で、心を許せる仲間に出会ったおかげで息を吹き返しました。
だから、試衛館が傾いた時は、仲間とその居場所を守りたい一心で浪士組の話を持ってきました。

でも、現実は平助の思ったように上手く作用しくれませんでした。
仲間を大切に思っているからこそ、変若水の事を仕方ないと割り切れなくて、思い悩む姿が痛々しかったです。

人を斬る覚悟はあるものの、それを仲間に行使するのは良しとしない…羅刹(元浪士組隊士)を手に掛けた時の描写は誰よりも悲痛な本心を見た気がします。
「このまま慣れて人を斬ることをなんとも思わなくなるのかな」と返り血にまみれて、投げかけられたセリフが忘れられません。
それでも黎明録の今、後々のために仲間を斬る覚悟は決めておくしかないのが辛いです。

また、試衛館の頃から知っている人達が変若水の研究をする程、人が変わってしまったのかと不安になっていました。
でも、近藤さんも土方さんも山南さんも、内心では辛く思っていて、このルートではその内心を見ることが出来て良かったです。
山南さんが平助に頭を下げたところはぐっときましたね。
平助も仲間と同じ気持ちでいられた事に少しだけほっとしたんじゃないかと思います。

龍之介はそんな平助を見ていて、彼の中では変若水は有害と決まっているけど、上役からの命令で仕方なく今の形になっていると感じていました。
平助の絶対に曲げようとしない部分、そしてそれ程までに強い思いを自分が持ったことないと気付かされます。
平助と過ごす中で、自分の生き方を自分で決める局面に来てもなお、龍之介は宙ぶらりんなままでしたが。
新選組から逃げた先でわかり合える友人を見つけてやっと真の意味で生き始めました。

龍之介に仲間意識を持ったからこそ、何度も何度も忠告して生かそうとしてくれた平助。
Good EDではせめて龍之介の事は思ったのと違うことにならなくて良かったなと思います。

また、平助ルートはBAD EDにも色々詰まってます。
変若水を飲む選択迫られたその時に自分はどうするのか。
真改本編で答えはもう知ってはいますけど、平助と山南さんだからこその会話が聞けたなと思います。

沖田総司ルート感想

沖田総司
Profile

Name:沖田総司

CV:森久保祥太郎

天才剣士

一流の剣の腕の持ち主。
飄々として掴みどころのない性格ですが、近藤さんの事となると目の色が豹変します。

総司のルートは1番わかり合いたい人と心の底からわかり合えないとても切ないお話です。
近くにいてよく知っている人達を大事に思う気持ちが微妙にすれ違って噛み合わないんです…。

近藤さんと総司は、総司さん9歳の頃からの付き合いです。
両親に先立たれ、姉とも離れ離れになったなんの力もない子どもの総司。
自分の境遇を憎みつつも近藤さんの「この世に意味が無いことなんてない」という言葉を聞いて、もがいてもがいて自分の力で意味を見出しました。

それが近藤さんのために強くなって誰にも負けない剣となること。
この作品での剣の在り方は人を斬ること、です。

一君はこの単純明快さに惹かれ、新八はどこまで通用するのか極みを目指しました。
大なり小なり選択肢がありましたが、総司は最初からこれになる事しか生き方がありませんでした。

試衛館で木刀を握った時には、刀は人を殺すものと思って、折檻していた兄弟子達を殺す勢いで腕を磨きました。
そこに近藤さんという絶対の存在を得て、自分の生きる道を定めて、その為に剣を磨いたからこそ最強の剣士ができあがったと言えます。

一方で、ひとりでやっとのことで生き方を見つけた総司にとって、龍之介の宙ぶらりんは腹立たしいものに見えたんだと思います。
性格の問題もありますけど、結構辛辣な皮肉を言っていた気がします。

ですが、何者でもない龍之介だから気がついたこともありました。
総司と近藤さんの真意の齟齬です。

近藤さんは志のために刀を振るう剣客となることを総司に望むのですが、本人はこれが全く理解できないんです。
龍之介は近藤さんの言うことが理解できるからこそ、総司に伝えようとするのですが、ついに最後まで伝わらなくてもどかしかったと思います。

そして、彼の出した答えは自分にできる事をやるだけ、でした。

総司の扱い方を1番心得ているのは実は山南さんで。
沖田総司は誰もが恐れる剣そのもので、使い手は新選組。
誰を斬るかは上からの決定、新選組の意志が決めて剣(総司)を振るう…総司が理解できるのはこちらでした。
理解できないけど、望む存在なれないけど、人を斬る。
近藤さんとずっとわかり合えない事が確定してしまいどこまでも悲しかったです。

土方さんとも色々あるのはあるんですけど、総司目線だと自分にないものを持っている羨望と嫉妬が向けられていたと思います。
1番は近藤さんに喜ぶ顔をさせてあげられることが総司の剣ではできないことが寂しそうで、見ているプレイヤーも辛かったです。
詳しくは、後に近藤さんが亡くなったあたりで、本人同士で本音をぶつけることになります。

龍之介はこのルートでは、もし総司が近藤さんに出会わなかった場合のもうひとつの可能性としても描かれます。
なので、何かこうと道を決めたり覚悟を決めたりはなく悪運で生き延びるのですが。
鏡みたいな存在の総司が最後に千鶴と穏やかに生きる姿を見た時は、誰よりも喜んだんじゃないかなと思います。

近藤さんの気持ちは伝えられなかったけど、ただ人斬るだけの剣ではなくなったことに安堵したような感じがしました。

土方歳三ルート感想

土方歳三
Profile

Name:土方歳三

CV:三木眞一郎

近藤さんの右腕的存在

とても頭の切れる浪士組副長。
近藤さんを押し上げるため、日々の受難に頭を悩ませつつも邁進しています。

土方さんルートは、鬼になる覚悟を決めるお話です。

角の生えた鬼の意味も後々でてきますが、黎明録では、目的を果たすために非情・冷徹である存在、のような感じです。
長い目でみたら「薄桜鬼」への第1歩だったとも言えると思います。

土方さんは、若かりし頃に近藤さん語りあった侍になりたいと言う夢と、自分の全てを掛けている近藤さんの名を世に出すべく浪士組に参加しました。

しかし、芹沢さんを見ていると、根っからの身分の違い、武士というものをまざまざとみせつけられてしまいます。
己のスジを通すことや体面に拘ること、その為ならどんな事でもやってしまえる揺るぎなさや武士としての生き方を体現していると認めざるを得ませんでした。

だからこそ、まだ甘さの残る土方さんには芹沢さんの一言一句がグサッと刺さります。
やり方は無茶苦茶ですし、土方さんたちの理想の武士像では無いけれど、芹沢さんが本物だったからこそ指摘にぐぅのねも出ない事もあったのかな、と。
芹沢さんが職権乱用してたようにしか見えない所もありましたけどね(笑)

ただ、土方さんに「鬼なれ」と言ったのも芹沢さんでした。
芹沢さんの真意はここではわかりませんが、本庄宿の事件の時に土方さんの素質を見抜いていたんじゃないかと思います。
「侍になれる可能性」があったのだと。

新選組の歴史を見ると負けが多いですし、結果は順風満帆とは縁遠い滅びの道でしたので、芹沢さんの思った「もしも」の可能性は起こらなかったわけですが。
土方さんは土方さんなりの武士になって、その道を全うしたのは間違いないと思います。

土方さん自身も芹沢さん暗殺後もずっと片時もその言葉を忘れずにいたそうですし、本物武士に完全否定されなかったことに価値があったんだと思います。
口には出さないけれど、敵わないなとか認めざるを得ないなとか思っていたのではないでしょうか。
後の土方さんを見ていると、なんだかんだ大きな影響を与えられ、土方歳三の源になっているような気がしました。

それから土方さんルートは半分山崎ルートでもあります。
まさかの龍之介が監察方の手伝いをするようになり、次第に友情が芽生えて山崎とは良き同僚、親友になります。
実は龍之介の方が人死にの現場に強かったりして、結構観察方が天職なんじゃないかと思う程でした。

山崎が龍之介を新選組隊士にって推す所まで認めてくれて、龍之介もちょっと武士の道も考えないでもないという感じでした。
でも、芹沢さん暗殺の時に喉に傷を負ってしまい、声を出せないまま新選組から遠ざかります。
それから松本先生の下で医療の手伝いをするのですが、そうなると戊辰戦争からあとは新選組の悲報がどんどん舞い込んできます。

土方さんルートなので山崎が亡くなってしまうのですが、親友の頼みで新選組を最後まで見届けることになり、あれだけ嫌っていた武士の道をゆき始めます。
まさか戦争そのものに一兵卒として参加する程ガチとは思わず本当にびっくりします。

真改本編のことがあるので、土方さんを最後まで見届けることは叶わないのですが。
龍之介の道は新選組を見届ける事だったと気がついた時は熱かったです。

薄桜鬼の映画主題歌の歌詞に「私が語り継ぐから」という歌詞があるのですが。
これはもちろん千鶴のことなんですが、龍之介がいたからこそ見届けて後世に伝わった新選組もあるんじゃないかと妄想が尽きないEDでした。

芹沢鴨ルート感想

芹沢鴨
Profile

Name:芹沢鴨

CV:中田譲治

壬生浪士組筆頭

上洛中に龍之介を拾った張本人。
根っからの武士で、剣の腕、政治見識、人を動かす剛腕等を兼ね備えた実力者です。
破天荒な振る舞いが原因で、次第に他の隊士達との溝が深まっていきます。

「悪名は無名にまさる」と言わんばかりに、力でねじ伏せる様なやり方を突き通す芹沢さん。
他の5人のルートですと、どこまで邪魔すれば気が済むんだと思う程です。
しかし、このルートでは口にはしない芹沢さんの真意が明かされます。
芹沢さんはとにかく色んなものが詰まっていて凄いです。

まず、とてつもなく見識が広くて、先の先まで見据えているのは土方さんルートでもわかるのですが。
やっとこのルートで、最終的には近藤さんたちと同じく、浪士組の名を挙げる事を目指して動いていたのだと察せられます。
新選組の浅葱の羽織に込めた思いからも本気だったのは間違いないです。

でも、目下の問題で、正攻法では不逞浪士を抑え込むことはできない…だから力でねじ伏せる。
他のルートでは土方さんたちと反対のやり方、としか思えませんでしたが、わざわざ悪役をかっていたのが徐々にわかってしまってしてやられました。

それでいて、土方さんに正攻法で資金稼ぎするように仕向けるし、「鬼になれ」はやっぱり浪士組のために甘さを捨てろってニュアンスでしたし、芹沢さんには敵わないです本当に。

上役も芹沢鴨個人を知っているので、浪士組の悪評を広めているのが誰なのか目に留まりますよね。
共通3章の時点で芹沢さんが諦念を漂わせるのですが、多分自分がこの先どうなるか既にわかっていたのではないかと思います。
羽織に込めた願いと芹沢さんの状態が完成に反対で、作った本人がその通りに歩めないのは切ないです。

あと、病気も患っていたから余計に先が短くて、名を挙げるために自分のできる事を急ピッチでやっていたのではないかと思います。
夢を託したとまで綺麗なものではありませんが、土方さんが片時も芹沢さんを忘れずにいたのはそういう事だったのかなとも解釈できました。

そして、病気の件はこれまた情報過多。
昔、惚れた女が患っていたから、自分もそれに罹って本望だ、と。
気概がレベル違いでしたね。

芹沢さんの好みだと、泥を被って必死に生きたものが咲かせた花を美しく感じるそうで。
出会った時の龍之介やもがいて侍になろうとする近藤さんや土方さんたちはお眼鏡にかなっていました。
見識から時流を読める芹沢さんが時代錯誤になるであろう存在に厚く手解きしたのは、芹沢さんにとっても最後に武士でいられる場所だったから守りたかったのかなと思います。

龍之介は、このルートでは芹沢さんの一挙手一投足に「何故」を浮かべ、真意をひとつひとつ知っていきます。
プレイヤーも同じことを知りたい状態になっているので、ものすごく物語に浸れます。
そうして知ってしまうと芹沢鴨の暴挙を凌駕する深みにハマり、龍之介は最後に芹沢さんの盾になろうとするほど他人事ではありませんでした。

ですが、土方さんルートと同じく龍之介には新選組を最後まで見届けて欲しいから、最初も、暗殺の時も生かしたのでしょうね。
許せと言われて許せる人ではありませんが、龍之介が蝦夷まで新選組を追いかける姿を見ていると、芹沢さんが生きていたらな~と感慨深くなりました。

それから、このルートはクリア後に風間の十六夜挿話が発生します。
新選組を見届け、武士の時代が終わった今、過去に取り残される遺物になるか、新しい道を進み始めるのか。
これからの生き方を問う様な考えさせられるEDでした。

あとがき

以上で黎明録本編は終わりです。
やはり斎藤一は至高。
堅物も堅物だけど秘めたるものは熱くて複雑ってなんだよもう…。
己の道に忠実なのに悩むってことは決してひとりよがりでは無いからですよね。
殺生に身を置いても人間として大切なことを失ってないのがすごくいいです。

それから、攻略が進むにつれて見えてくる芹沢鴨の真意がなんとも悲しく儚く、それでいて知ってしまうと物語全ての見え方が変わるほどの強烈さを持っていることに気が付きます。
一君が好きなので、彼らの味方(見方)をどうしてもしてしまうのですが、芹沢ルートをクリアすると、まだ武士になり切れない近藤さんや土方さんの一歩先を「武士」として導こうとしていた真意が見えて、芹沢鴨の沼の凄さを思い知りました。

これだから薄桜鬼は推し続けられる…。
何回プレイしても大好きだなと思いました。

ゲームは、スチルがまだまだ埋まっていないので、色々集めてから最後のまとめをしたいと思います。

では👋

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